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商品の説明
内容紹介
目次
まえがき
序
第1話 救済問題
第2話 一次産品問題
第3話 雇用政策
第4話 福祉国家システム
第5話 国際通貨制度
第6話 ケインズの「今日」的意義
まえがき
これまで、ケインズについての理解を広めるべく、『ケインズってどんな人』、『ケインズの経済学ってどうやってできたのだろうか』
を刊行した。本書はそれに続くもので、彼が第二次大戦後の世界システムの設計者としてどのような活動を行ったのかを、明らかにすることを目的にしている (ケインズは、第一次大戦で瓦礫と化したヨーロッパの再建案として『平和の経済的帰結』第7章で「石炭共同体」、「自由貿易同盟」、「保証基金」構想を提唱している。本書では、これら初期の活動は取り上げず、専ら1940年代の活動に焦点を合わせる)。
大きく分けると、国際システムの構築と国内システムの構築の2つの領域になる。
国際システムの構築としては、救済問題、一次産品問題、国際通貨制度を取り上げる。救済問題とは、戦争によって悲惨な状況に陥った国々をいかにして救済し、そして再建させるのかという問題である。一次産品問題とは、激しい価格変動を繰り返していた一次産品の価格をいかにして安定させるかという問題である。そして国際通貨制度の問題とは、金本位制が崩壊し、世界経済が非常に不安定になっていたのを解決するために、いかなる新たな通貨制度を構築するべきかという問題である。これらの重大な問題について、ケインズはイギリス側から様々な案を提示し、それらをアメリカと協議するという立場に立って獅子奮迅の活躍をみせることになった。
国内システムの構築としては、雇用政策と福祉国家システムを取り上げる。前者は『一般理論』の著者ケインズの考えがどのようにイギリスにおいて浸透していったのかという問題である。これにたいし、後者は、主要な設計者ベヴァリッジの活動を側面から協力に援助するケインズの姿を紹介する。ケインズは思想的にも『ベヴァリッジ報告』に賛辞を惜しまなかったのである(なお、国内システムと述べたが、これは世界の多数の国が同じ方向で取り入れていくことになったものであり、国際的な広がりと重要性をもつものであるという点に留意が必要である)。
これらを説明していくなかで、読者に伝えたい点は次の2点になる。第1は、ケインズがいかに上記の重要な問題に深くコミットしたのかを具体的な事実によって知らせることである。合わせて、事態の進展に応じてケインズがいかに対応・変更させていったのか、彼の交渉能力はいかなるかたちで発揮されたのかも、すこぶる興味深いところである。第2は、これらの提案策定過程・交渉過程でケインズがみせた「国際主義」と「ナショナリズム」(大英帝国) のあいだでの「揺れ」という点を示すことである。これは救済問題と国際通貨制度において顕著である。
それ以外に、1940年代前半にみられたこれらのケインズの活動は、今日の世界経済システムおよび国内経済システムを考えるうえで、すぐれて現代性をもっているという点に読者の注意を喚起したいと考えている。この点は第6話を改めて設けることで、説明することにしたい)。
世界経済に関心を寄せる多くの方々の参考に資すべく、論述は、簡にして要を得たものにすることに努めた。何らかの示唆を提示できたとすれば、著者にとってこれ以上の喜びはない。
2014年7月記
著者
まえがき
序
第1話 救済問題
第2話 一次産品問題
第3話 雇用政策
第4話 福祉国家システム
第5話 国際通貨制度
第6話 ケインズの「今日」的意義
まえがき
これまで、ケインズについての理解を広めるべく、『ケインズってどんな人』、『ケインズの経済学ってどうやってできたのだろうか』
を刊行した。本書はそれに続くもので、彼が第二次大戦後の世界システムの設計者としてどのような活動を行ったのかを、明らかにすることを目的にしている (ケインズは、第一次大戦で瓦礫と化したヨーロッパの再建案として『平和の経済的帰結』第7章で「石炭共同体」、「自由貿易同盟」、「保証基金」構想を提唱している。本書では、これら初期の活動は取り上げず、専ら1940年代の活動に焦点を合わせる)。
大きく分けると、国際システムの構築と国内システムの構築の2つの領域になる。
国際システムの構築としては、救済問題、一次産品問題、国際通貨制度を取り上げる。救済問題とは、戦争によって悲惨な状況に陥った国々をいかにして救済し、そして再建させるのかという問題である。一次産品問題とは、激しい価格変動を繰り返していた一次産品の価格をいかにして安定させるかという問題である。そして国際通貨制度の問題とは、金本位制が崩壊し、世界経済が非常に不安定になっていたのを解決するために、いかなる新たな通貨制度を構築するべきかという問題である。これらの重大な問題について、ケインズはイギリス側から様々な案を提示し、それらをアメリカと協議するという立場に立って獅子奮迅の活躍をみせることになった。
国内システムの構築としては、雇用政策と福祉国家システムを取り上げる。前者は『一般理論』の著者ケインズの考えがどのようにイギリスにおいて浸透していったのかという問題である。これにたいし、後者は、主要な設計者ベヴァリッジの活動を側面から協力に援助するケインズの姿を紹介する。ケインズは思想的にも『ベヴァリッジ報告』に賛辞を惜しまなかったのである(なお、国内システムと述べたが、これは世界の多数の国が同じ方向で取り入れていくことになったものであり、国際的な広がりと重要性をもつものであるという点に留意が必要である)。
これらを説明していくなかで、読者に伝えたい点は次の2点になる。第1は、ケインズがいかに上記の重要な問題に深くコミットしたのかを具体的な事実によって知らせることである。合わせて、事態の進展に応じてケインズがいかに対応・変更させていったのか、彼の交渉能力はいかなるかたちで発揮されたのかも、すこぶる興味深いところである。第2は、これらの提案策定過程・交渉過程でケインズがみせた「国際主義」と「ナショナリズム」(大英帝国) のあいだでの「揺れ」という点を示すことである。これは救済問題と国際通貨制度において顕著である。
それ以外に、1940年代前半にみられたこれらのケインズの活動は、今日の世界経済システムおよび国内経済システムを考えるうえで、すぐれて現代性をもっているという点に読者の注意を喚起したいと考えている。この点は第6話を改めて設けることで、説明することにしたい)。
世界経済に関心を寄せる多くの方々の参考に資すべく、論述は、簡にして要を得たものにすることに努めた。何らかの示唆を提示できたとすれば、著者にとってこれ以上の喜びはない。
2014年7月記
著者