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2018年3月28日水曜日

ミーゼス 社会主義国における経済計算, 1920年

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ミーゼス

社会主義国における経済計算, 1920年


1. ミーゼスは、社会主義経済を生産手段の国有化 (私的所有の廃止) された経済と規定する。そして、そのような経済では、生産手段の市場が存在しないため、経済計算は不可能である、と主張する。

2. ミーゼスは資本主義経済が貨幣的経済であることを、きわめて重視している。そして社会主義経済においては貨幣は本質的な役割を果たすことはできない、と考えている。

3.社会主義経済では、責任やイニシアチブを有する人々の存在する余地はない。

4. 「高次財のための自由に決定された貨幣価格という概念が放棄されるやいなや、合理的な生産は完全に不可能になる。生産手段の私的所有や、貨幣の使用から遠ざかるごとに合理的な経済状況からわれわれは遠ざかる。」

 「生産手段の私的所有、および貨幣による交換システムに基づく社会は、こ
うして計算と勘定が可能になる」 … こうしたことは社会主
義経済では得られない。

「(社会主義経済は) もはやいかなる信用も流通させない。というのは、社会
主義社会では、信用は必然的に不可能になるからである。」

「経済計算なくして経済はありえない。それゆえ、経済計算の追求が不可能
な社会主義国では、経済などまったくありえないのである。」

 「合理的であったことを決定する手段はないであろう。だから、生産が経済的考慮によって指令されることはけっしてありえないのは明白である。... 合理的な行為は、その適正な領域である場所から離れるであろう。実際、合理的な行為のようなもの、あるいは、いやまったく、合理性とか思考自身における論理のようなものはありうるのだろうか。」

 「民間企業の成功が依存している自由なイニシアティブと個人の責任の排除は、社会主義組織にとっての最も深刻な脅威となる」

5. 市場社会と社会主義の比較において、前者では参加者はすべて消費者として、および生産者として参加するのにたいし (経済計算にはこの両側面が不可欠であるとされる)、後者では生産者としての参加が欠落しており、したがって生産手段の価値評価を欠く。

 「同一企業の個々の支部のそれぞれの計算は、専ら、計算の基礎としてとられる市場価格はあらゆる種類の市場および雇用される労働のために形成されるという事実に依存している。自由な市場がない場合、価格メカニズムは存在しない。価格メカニズムが存在しなければ、経済計算は存在しないのである。」

6. 「財の客観的な交換価値が経済計算の単位として入ってくる交換経済」は、3つの利点を有するとされる。

 (1) それは、計算を、交易に参加するすべてのものの価値評価に基づくことを可能にする。

(2) それは、財の適切な用途へのコントロールを提供する。

(3) 交換価値による計算は、価値を単位にもどすことを可能にする。

7.このほか、労働価値説批判、そして社会主義者は純粋の社会主義になったときのもつ問題 (これがミーゼスの批判のポイントである) を看過、もしくはみようとしていないという批判がなされ、バウアーやレーニンの考えが批判的に検討されている。

 「これらのすべの著述物からの唯一の可能な結論は、それらが、社会主義社会における経済計算という大きな問題に気づいてすらいない、ということである。」

シュムペーター「資本主義の不安定性」(1928年)



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シュムペーター「資本主義の不安定性」(1928年)


1. シュムペーター独特のツイストがみられる論文である。要約していえば、資本主義はシステムとして、静態的条件下で安定的、動態的条件下で不安定 (ただし、それは新しい均衡への収束傾向を有する、とされる) である。
しかし、ここまでの話では、体制 (order) としては安定している。そのうえで、資本主義は体制としても社会学的理由により不安定になる (社会主義への移行)ことが、最後で言及されている。
換言すれば、資本主義の不安定性は、システムとしては動態的条件下においてみられ (ただし、それでも新たな均衡への収束傾向は認められ、体制としては安定している)、体制としては社会学的理由により生じる、とされる。
 
2. 資本主義システムは静態的条件下で安定的、動態的条件下で不安定的であると述べられている。

  1つは、静態的条件下での安定性である。これはワルラスの一般均衡理論などで代表されており (シュムペーターはいわゆるすべての新古典派経済学がこの点で同意している、と述べている。マーシャルも含めて、である)、そこでは均衡解の存在とその安定性が語られている (均衡解が多数存在する場合や、均衡解の不安定な場合への言及もあるが、それらは例外的なものである、とされる)。これは『理論経済学の本質と主要内容』の世界である。
 
もう1つは、動態的条件下での不安定性である。これはシュムペーターの『経済発展の理論』の世界である。この場合、システムは不安定的であるが、体制としてはこの場合でも安定的である、と語られている。
 
 3. 資本主義は、社会学的理由により体制 (order) が不安定になることが語られている。シュムペーターはここで、『資本主義・社会主義・民主主義』で論じられることになる考えをほのめかしている。