2017年9月19日火曜日

21世紀の歴史 - でっち上げの理由により突き進んだ世界史


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21世紀の歴史 でっち上げの理由により突き進んだ世界史

でっち上げの理由に基づく戦争により、世界史は誤った軌跡を描いて今日に至っている。これらのことがすぐに判明するのは、現代世界では情報網の発達により、真偽のほどがすぐに暴露され続けているからである。
 その象徴的な事例 21世紀の世界史が進む道を決定づけた事例 をあげることにしよう。

(1)
9.11 事件 (2001) はオサマ・ビン・ラデンの率いるアルカイーダによって計画され、実 
行された」というブッシュ政権の断定

実行犯の8割はサウジ・アラビア人であり、かつかれらは英語を話せなかったこと、そして実行犯の何人かは、アメリカ西海岸に居を構えるサウジ王家の高官と事件前に会って話し合いを行っていること (これらの場面をとらえたビデオは公開されている)、そしてオサマ・ビン・ラデン自体、サウジを90年代初頭の湾岸戦争時にサウジがアメリカに基地を提供したことを憤り、サウジを敵視するに至っていたこと、等々があり、上記の断定はきわめて疑わしいものである。そしてこの事件には上記のようにサウジの関与が大いに疑われるにもかかわらず、アメリカ政府はそれには一切ふたをしたままの状況で今日に至っている。サウジはアメリカ政府にとって大事な同盟国であり、サウジをやり玉にあげることはできない状況におかれている (これはオバマにおいても同様である) 。この事件は、その後の世界史の進む道に大きな影響を及ぼすことになった そしてその軌跡を取り戻すことはもはやできないのである だけに、一政府の軽率な判断、というか意図的な断定が歴史の進む道を大きく歪めることになった。

(2)
ブッシュ政権は、「オサマ・ビン・ラデン、アルカイーダを殲滅するためにアフガン攻撃」  
を宣言し、そして実行に移した。

すでに (1) にみたように、ビン・ラデンは犯人ではないから、アフガンに攻撃をしかけるのは何ら正当化されものではない。が、アメリカは、勝手に作り上げた理由により断言し、アフガン攻撃を行い、タリバン政府を打倒して (タリバンは、パキスタン政府によって育成された組織である。パキスタンはアフガンへの影響力をもつべく、そしてインドに対決する力を増強する一環で、こうした方針をとっていた。タリバンは90年代中葉にはアフガンの支配的地位につき、
そしてオサマ・ビン・ラデン、アルカイーダを擁護し続けた)、アフガンの制圧にきわめて速く成功した。だが、それは束の間の勝利にすぎず、現在に至るもアフガン情勢は泥沼下におかれたままである。アメリカは16年も闘っており、しかもその最終的勝利の保証はどこにもない状況のままである。どうなれば勝利なのか、アメリカ自身、分からないままの状態におかれている。

(3) ブッシュ政権は、「イラクのフセインはアルカイーダと結託しており、かつ大量破壊兵器を開発・保有しているテロリストである」との理由で、一方的にイラク戦争を開始した(2003)

フセインとアルカイーダのあいだには何ら協力・共闘関係はないこと、は当時も大きく取り上
げられていた(そして実際、そうした証拠は現在に至るも何も見つかっていない)。大量破壊兵
器に至っては、当時も調査団がイラク入りして調べたが、そうしたことは発見されなかったし、イラク制圧後も、アメリカはそのありかを発見することはできなかった (いまに至るもそうした発見はない)
 実際、この戦争はネオ・コンの地政学的偏見に基づいて実行されたものであり、副大統領チェイニーの主張に沿って断行されたものである。
 (イギリスのブレアは、ブッシュのこれらの発言をうのみにするかたちで、イギリスをイラク戦争に参加させることになった。)
 
この戦争は、国連でも反対されていたが、ブッシュはそれらを無視して踏み切っている。

(4)
こうして実行されたイラク戦争では、非常に短期間でフセイン政権の打倒に成功し、さらに  
しばらくしてフセインを発見・捕縛し、絞首台に送り込むことになった。

だが、アメリカの現地統治政策の失敗により、その後イラクは極端な混乱状況に陥ることになり、結果的に言えば、イスラム国の台頭を引き起こすことになった。アメリカは、フセイン政権を支えていたスンニ派を追放し、代ってそれまで虐げられていたシーア派を政権に据える方針をとった。これにより、スンニ派は追放・迫害の立場に陥っることになったのだが、そのことは、イスラム過激派をスンニ派が支持する重要な契機となったのである (折しも、いわゆる「アラブの春」が当地にも到来することになり、このことでイスラム過激派のなかからイスラム国が台頭し、イラク、シリアにわたり大きな軍事的・政治的力を発揮することに貢献することになった)
 現在も、イラクは国としてのまとまりを著しく欠いたままである。何よりも北部の重要地域 (キルクーク油田が存在する) はクルド族が自称「クルディスタン」国の樹立を宣言しており、しかもアメリカはクルド族にシリアなどでの闘いにおいて、大きく依存している、という複雑な状況になっている。

(5)
オバマは「アメリカ軍の特殊部隊がオサマ・ビン・ラデンのありかを発見し、銃撃戦の末、 

銃殺した」との声明を出した (20115)

これはまったくのウソであることが、著名なジャーナリスト、シーモア・ハーシュにより明らかにされている。簡単に言えば、ずいぶん前にパキスタンの特殊部隊が山中に隠れていたオサマ・ビン・ラデンを発見し、自らの陣営の中の建物に、いわば監禁・隔離していた (78)。それをパキスタンの諜報将校がアメリカ公使館にタレこみ、そこでアメリカはビン・ラデンの居場所を知ったと言う次第。そしてアメリカとの協議でパキスタンは、アメリカ特殊部隊の襲撃作戦のさいに、気がつかないふりをすることになった。殺害後、サウジがチャーター機を出し、ビン・ラデンの残された家族をサウジに秘密裏に連れ出した

2001
911日の事件から、上記の経緯に至るまで、アメリカは根拠のない理由[つまり、ウソ]でアフガンに戦争をしかけ、同じく、もっと根拠のない理由でイラクに戦争をしかけることになった。そしてアフガンもイラクも何ら決着をつけることはできず、いやましにこれら地域の混乱は拍車がかかったままになっている。アメリカは、この泥沼状況から抜け出すことはできず、「第2のベトナム戦争」状況に陥っている。

 ずっと叫ばれている「テロリズム撲滅」スローガンだが、テロリストと呼ばれているこれららの組織ができたのは、理由のない、そしてその先の統治方針もないまま無謀な攻撃に走ったアメリカの行動と、長年にわたってこれらテロリスト集団を育成・援護してきたサウジ・アラビアの活動、に起因するところが大きい。

2001
年から生じたことは、現在の世界が陥っている混乱状況を大きく規定している。そしてこれらはアメリカ政府による虚偽の理由づけに基づいて遂行されてきた。こうしたことは、「真実の歴史」的推移と世界政治・軍事の実態を正しく認識するうえで、考慮していく必要のあることであろう。政府による公式声明に基づいて「真実の歴史」は語れないのである。