(コメント) 首相の発言、日銀の発表を聞いて
・首相は、いかにアベノミクスが日本経済を立て直すことに成功しているのかを、
いまの国会でも明確に発言している。
いまの国会でも明確に発言している。
だが、諸データを、このリーマン・ショック前の7年ほど(「いざなぎ超え
景気」の頃)と比べてみると、目に見えて改善したパフォーマンスはみられな
い、というのが現実である。
・今回、日銀は、0.1%の「手数料」を銀行が新たに当座預金に振り込む場合に科すこ
とに決めた。つまり、今後は、日銀に保有する国債を売却する(これは今後も続
く)場合に、その売却代金を当座預金に、いままでのように振り込むと、手数料
をとられ、これまではもらえていた利子0.1%(「付利」は手にできない、という
ことになる。ということは、銀行はベー スマネーを増やすようには行動しなく
なり、どこか他に貸出先をみつけなければならない、ということになる。
問題は、それで銀行の実体経済への貸し出しが増えるのか、という点であろう
(もちろんこれはマネー・ストックの増大と関係する問題である)。0.1%の
「手数料」は実体経済の資金需要が増える原因にはならないからである。
・「2年後にCPI(コア)を前年度比2%上昇させる状態にもっていく」という日銀の
約束だが、これは中銀が達成できる管轄下にはないものである。人々がこの率の
実現を信じて、予想インフレ率を2%に当初からする、ということも前提になっ
てきたし、さらにそこから予想実質利子率を通じて、ポートフォリオ・リバラン
ス効果による経済の上昇がみられる、という発想になっているからである。
このインフレ・ターゲット政策は、FRBの「フォワード・ガイダンス」
(これもコミットメントを重視しているのだが)とは性質が異なる。というの
は、これは、「FF金利」を「ある目標」(例えば、「失業率何パーセント、イン
フレ率何パーセント」など)が達成できるまで、「何パーセント」に保つ、とい
う約束である。FRBがFF金利をどう設定し、それを将来にわたって継続する、と
いう約束は、中銀ができることだから、実現可能な約束である。人々がそういう
中銀の判断を信頼して行動する、という発想に立っている。
******以下は記事
日銀、マイナス金利導入=2回目の追加緩和-物価上昇2%「17年度前半」に先送り
日銀は29日の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の導入を柱とする追加金融緩和を賛成5人、反対4人の賛成多数で決めた。金融機関が日銀当座預金に必要分を超えて新たに預け入れる際の金利(付利)を現行の0.1%からマイナス0.1%に引き下げる。2月16日から適用する。
2013年4月に導入した現在の量的・質的緩和政策下での緩和策強化は、14年10月末に続き2回目。金融市場の動揺に端を発した景気の悪化を阻止するのが狙い。国債や株価指数連動型の上場投資信託(ETF)など資産の買い入れ方針は現状維持とした。
決定会合後に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、原油安を踏まえ、2%の物価上昇目標の実現時期をこれまでの「16年度後半ごろ」から「17年度前半ごろ」に先送りした。目標実現時期の先送りは3回目。16年度の消費者物価上昇率の見通しは前年度比0.8%(従来1.4%)に下方修正した。(2016/01/29-13:41)