2016年2月27日土曜日

世界情勢(つぶやき)

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世界情勢(つぶやき)

わずか半年で想像もできないほど、世界情勢は変化したことを痛感する。


1.EUがガヴァナビリティを極端に喪失

原因は大量難民がEUに押し寄せ、それにたいし、EUとして統一した、

そして協力した政策・対策を打ち出すことが出来なかったことである。

その結果、メルケルの権威が極度に低下するとともに、EUそのものが

非常に分裂した組織に陥ってしまったということである。

 これをリバースできるかとなると、非常に難しい。というのは、メンバー国の

政治情勢が反EUの方向に大きくかじ取りをしてしまったからである。

 ドイツに権威がなくなり、フランスはその前から存在感をなくしているから、

中心的な国が見当たらなくなり、ブリュッセルの官僚機構がその分目立つような

感じである。


2.隷属国家ギリシアにさらに村八分的攻撃

ギリシアはユーロ・メンバーである(当然EUメンバー国)にもかかわらず、

7月からのあの隷属的要求をギリシアに突きつけ、そして今度は難民対策に

過失がみられるとして、シェンゲン協定から除外するような動きまで出ている。

ギリシアへのこの八つ当たり、そしていま、難民の流入がギリシアに滞留する

ことでギリシアは爆発寸前であるが、EUはそれについては何も考えていない

有様である。これはヨーロッパ統合の真逆の行為である。ギリシアは爆発する

と思う。そしてそれはEUに波及することになるだろう。


3.シリア情勢が列強の権益争奪の場に変化

9月にロシアがシリア空爆を開始したが、今年になってから、その猛爆は

イラン、ヒズボラの陸上部隊と連携して、アサドを復活させ、同時に、ロシアは

中東に確固たる足場を築いた。

 このため、アメリカの中東での影響力が極端に低下してしまっており、いま

進められている停戦合意は、プーチンが取り仕切っている。これが簡単に功を奏する

ものでないことは確かであるが、ロシアはもはや引き下がらないであろう。


4.原油価格の下落が世界経済を不安定にさせてきている。

・ロシアは経済サンクションに加えて原油価格の下落により、経済が大きく落ち込んでいる。

プーチンの上記の戦略的な進行は、この問題とも関係していると思われる。

・サウジ、湾岸諸国も、この原油価格の下落で大きな痛手を負っている。それが、世界の

株式市場での保有株の売却を誘い、株価の大幅下落に直結している。

・アメリカでは、原油価格の下落が、シェール・ガス産業を襲い(コスト回収ができなく

なっている)、いまでは倒産が相次ぐようになっている。そのことはそこに投資していた

銀行、ソブリン・ファンド、投資家が莫大な不良債権を抱える大きな原因となって、世界

経済を非常に不安定なものにしている。

・アメリカの量的緩和においては、MBSをFRBが大量に購入して、銀行を救済した。

ぼろ屑になったMBSを、である。そして銀行はそれらで得た資金を世界各地に投資したのである。

上記の原油やソブリン・ファンドも然りである。

・原油価格はいまでは先物市場に支配されている。1983年から原油の先物市場は

始まったのだが、それ以来、ますます投機的な目的でこの市場に参入が続き、結果、

原油価格の乱高下はすざまじいものがある。

・中国経済の減退により、多くの取引国の経済が悪化を続けている(例えばオーストラリア)。

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世界の地政学、世界経済は上記のような要因により大きな不安定要因を抱えてしまっている。

とくに地政学的にはもはやアメリカ1国支配の時代(1990年からの25年)に終止符を打っており、

ロシア、中国を交えた3極体制に突入しているといってよい。問題は、これが

どのあたりで安定するのか、しないのかである。

 そのことに世界経済に現出してきている不安定要素が複雑に絡み合うことになるであろう。

金融システムの不安定化要因にたいし、世界は有効な対策を打ち出すことができずに

再び、大きな問題をもつに至っている。