2018年4月12日木曜日

ケインズ「哲学者ラムジー」(1931年)




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ケインズ「哲学者ラムジー」(1931年)
    

1. とくに重要な箇所はわずか2頁足らずである。

2.ケインズは述べる。ラッセルやヴィトゲンシュタインによる形式論理学の展開は、しだいに内容を空虚なものにしていき、たんなる乾いた骨にまで至り、ついにはあらゆる経験のみならず、ほとんどの合理的な思考原理をも排除することになった。ラムジーはこれにたいし一種のプラグマテイズムで対抗しようとし、ヴィトゲンシュタインにたいし批判的であった。かくしてラムジーは人間論理を考察しようとするに至った。

3.記されているラムジーの理論の要約は、正確なものとの印象をもつ。

ラムジーは人間論理と形式論理を識別した。われわれは、感覚や記憶によって提供される事物を扱う有益な精神的慣習をもってお り、これを確率論理に適用することで、整合的なシステムをもつ。確率計算は形式論理に属するが、しかしわれわれの信条の度合 はわれわれ人間の装備 (outfit) の一部であり、形式論理ではなくむしろわれわれの感覚や記憶に近く、自然淘汰によってのみ与 えられるようなものである。ここまで私 (ケインズ) はラムジーに屈する、私は彼が正しいと思う。

4.短い論評だが、非常に重みと深みのあるものである。ケインズはやはりラムジーの確率論の考えに賛同しており、形式論理一辺倒の流れに属する自らの確率論に批判的になっていると考えて差し支えない。

5.この論評はラムジーへのかなり全面的な賛成といってよい内容のものである、と私は結論づける。