2018年4月15日日曜日

アメリカの政治危機

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アメリカの政治危機

シリアへの米英仏による爆撃は、ロシア、イラン、トルコとのあいだに大きな亀裂を招いている。ロシア側はプーチンがようやく非難声明を発表するに至っているが、この先、どういう展開をみせるかは予断のならない状況である。ただ、アメリカ側は緊張が過激にならないように、攻撃対象を抑制して、かつ一度きりという形態をとっていることで、多少の抑制はみられてはいるが、これで対話が開始されるということはありえないであろう。ロシア側が何らかの反撃を加えないかぎり・・・。

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ここで言おうとしているアメリカの政治危機は国内的問題である。トランプのお抱え弁護士マイケル・コーエンの事務所、宿泊ホテル、自宅がニューヨークの南部司法当局により捜索令状により、膨大な書類、電子文書などが押収されるということが起きた。司法当局はコーエンをさまざまの犯罪容疑で取り調べる方針をとっている。コーエンは、トランプのさまざまの悪事の尻ふき、脅迫行為、威嚇行為を一手に引き受けた人物で、10年以上、この業務を引き受けてきている。最近の報道によると、コーエンという弁護士は法廷での実績がまったくなく、顧客は「トランプ」だけのようである。それだけに、トランプとの関係はきわめて深く、トランプの金融的犯罪行為も含めて、多くの悪行が赤裸々になる可能性が一気に高まっている。検察当局がコーエンに「あなたの顧客は」と問い詰めるも、コーエンはだれの名前もあげない、というか上げられない状況がつづいており、業を煮やした検察当局は、月曜日に直接尋問することを決めている。おそらく、顧客はだれもいない、トランプをのぞいて、という信じられないような弁護士の姿が見えてきそうな雰囲気である。
 トランプはこの司法当局に行為にたいし、自分の危機なのだが、アメリカ国家の危機と、例によってするかえたデマフェイクでツイートしている。
 折りもおり、昨年の5月にトランプが解雇したコーミーによるトランプを強烈に批判した書籍が刊行されている。彼が述べていることはほぼ信頼のできるものであることは、関係者だれしもが認めるところである。トランプは嘘八百の人物であり、ほとんど信頼に値する根拠なしに、相手を罵倒し続けるツイートの連発である。

 いま大きな懸念というか問題になっているのは、この訳の分らん男が怒り狂って、ローゼンスタイン、そしてミュラーを解雇しようという行動に出る可能性が高くなっている点である。いま草の根運動では、もしトランプがミュラーを解雇する行為に出た場合に、ただちに街頭抗議行動を展開するという動きが現実化しており、一説ではすでに30万人が参加するとも伝えられている。
 もう1つの問題は、議会である。立法府である議会は、この行政の長たる異常な人物にたいし、きわめて屈辱的な態度を取り続けてきている。とくに問題なのが、共和党であり、そしてその指導者マッコネルとライアンである。ライアンは先日、議員を任期後に辞任することを表明しているが、この人物の政治生命はこれで終わりであると言われている。というのは、20に渡り均衡財政の強力な主導者であったライアンが、トランプの異常な減税措置に賛成して、トランプのいいなりの姿を見せ続けるという無様な姿を見せてきていたからである。辞任の弁は、「家庭を大事にしたい」的なものであるが、あきれてものが言えないような情けない政治家である。
 立法府がアメリカ的基本理念を失墜させる行動を見せ続けるという民主主義の根底を揺るがす行動は、大きな亀裂をアメリカ政界にもたらしてきている。
 ミュラーを解雇する行動をとったさいに、立法府が両党共同でトランプにノーを決議することができるのかは、非常に重大な問題となっている。
 ミュラーは来月、重大な調査報告書を出すことになっているが、それによると、トランプは4つの重大な「司法妨害」を行ってきているという内容のものである。
 トランプの非倫理的な行動は言葉に絶するものがある。昨日の報道であるが、トランプ・タワーのドアマンが、トランプの情事を話さないことを条件に多額の口止め料をもらっていたことが、このドアマンによって告白されている。
 また、まもなくコーミーによる独占インタビューがABCによる報道されることが決まっており、全米が注目している。

 (全体的な雰囲気で言えば、シリア攻撃よりも、この国内的問題の方が大きく取り上げられているような感すらある。)