2018年3月27日火曜日

ストーミー・ダニエルズの60分

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ストーミー・ダニエルズの60分

CNNのアンダーソンの60分番組で、問題のストーミーの話が放映された。ポルノ映画界では広く知られた人物であり、39歳で子持ちである。
 トランプは、この放映を止めるために躍起となり、放映すれば、巨額の賠償訴訟を起こすと脅しをかけていた。それを振り切っての放映であった。
 会話は、かなり冷静に、しかし事実描写に徹しているという雰囲気があった。なにせポルノ女優であり、ネット上では表現に困る写真・ビデオが流れている人物である。そうした人物がいまなぜ赤裸々な告白を全国的に行うのかについては、賛否両論の意見が流れて入る。だが、対象となる人物がアメリカの大統領である。月とスッポン、と言いたいところだが、この大統領は真っ黒の履歴の持ち主であり、その意味でレベルの相違はない、というか人に迷惑をかけてきた、という意味ではトランプの方がはるかにそうである。
 このケースは、トランプの異性交流の醜さを、1年間関係をもったポルノ女優が直接、語ることで、これまでの多くの訴えが生じているトランプにたいし、大きな柱を提供したという点で大きな意義がある。この訴えに触発されて、3人の女性が公に登場してきて、かつインタヴューを受けて話をしたりしている。
 ストーミーの話のなかで、話題を引いたのは次の点である。ストーミーが2011年にトランプとの関係をある雑誌に売り、そこで洗いざらい話をしたことがある。その直後に、駐車場である男が近づいてきて恫喝を加えたという話である。後部座席には小さな娘が乗っており、「トランプのことを話したら、かわいそうに、ママはどうなるのかな」的脅しをしたとのことである。これは証拠が提示できているという話ではないので、今後どう展開するか分からないが、トランプ陣営がそうした恫喝を使うというのは、常套手段化しているから、本当の可能性が高いように思われる。
 一番重大な問題になるのが、2016年の大統領選挙直前に、ストーミーにたいし、トランプのお抱え弁護士が、NDA文書を作成し、それにサインをさせたという問題である。そしてこれにはトランプはサインをしていないが、ある額の口止め料が支払われることになっていた。この文書が公になったとき、弁護士は、「トランプは何も知らない、私の一存で、資金も私が不動産を担保に借り入れて用立てた」との発表を行った。これは常識ではもそうだが、あり得ない話である。弁護士が顧客の問題について顧客に何の話もせずに、勝手に契約書類を作成して、しかも資金を自分で用立てて、そして顧客からは1ドルも受け取っていない、などということが、せちがらいアメリカ社会でありえない話である。
 そして先日、CNNの放映をストップさせるために、放映したら巨額の賠償を請求するとの脅しをかけたのであるが、ここではトランプは明確に関与している、という奇妙な事態が生じている。弁護士の一存でできる話ではないからである。だが、契約書自体、トランプがサインをしていないから、正式な契約書になっていない。そしてストーミー側は口止め料を返還するという申し立てを行って、この番組の放映に至っている。
 もう1つの、そしてこれはかなり重要な問題になる可能性があるが、それは、この資金はトランプ陣営から出たとした場合 (それ以外にありえないが)、日本で言えば選挙法違反を問われることになる。金額が許容額を超えているのみならず、それを報告していないからである。トランプ陣営の資金問題という側面に入りこむ問題である。
 ストーミーの弁護士は、「今日の放映は始まりにすぎない。これからが勝負だ」と非常に強気の采配をふるっている。ツイッターで、CDやテープの写真をアップして、「何千の言葉よりも雄弁」的なツイートをしている。写真やテキストやメールが一杯あるということを匂わせている。そしてこれらはストーミーがもっている、となれば、それこそどのような写真が登場することになるのか、と誰しも思うところである。
 
[話が変わるが、トランプは1985年頃から、ロシアのオリガルヒ・マフィアとの金融
的つながりが強い行動をとってきており、オリガルヒはこの関係を利用してニューヨーのトランプ不動産に巨額の投資を行うことで、6度も倒産を経験しているトランプを大いに助けてきた、という長い歴史をもっている。オリガルヒはこれを利用してマネー・ロンダリングを続けてきているのである。トランプがタックス・リターンを一度も出したことがないのは、そのためであろう。]