Knight,
Statics and Dynamics, 1930 (in The Ethics
of Competition, 1935)
Some Queries Regarding the Mechanical
Analogy in Economics
平井俊顕
ナイトは動学というタームを疑問視している。力学における動学は経済学には
ない、という主張である。
「・・・われわれの現在の主張は、もし動学という用語がいやしくも使われるとしても、この用語がもつべき意味における経済的動学というのはない、というものである。経済学の文献には、測定される力、抵抗および運動のあいだの関係についての扱いがない。それが動学と呼んでいるものは、進化経済学もしくは歴史的経済学と呼ぶべきものである。機械工学には、逆に、進化概念の余地は存在しない」p.159
マーシャルの短期から超長期に関する時間概念を活用しての議論が繰り広げられている。
ただし、若干の相違点の存在が指摘されている。
「彼の(マーシャルの)(短期から超長期に至る)シリーズには、その初めにおいて、短期において空白があるように思われる。・・・一群の専門的業者・・・」(p.162)
「本論考の残りの個所では、この立場から主要な長期調整もしくは進歩の要素についての短いサーヴェイを行うことにする」(p.170)
「短期均衡および長期均衡は、明確に定式化しようとすると、われわれの見解では、誤導的であり、実際に誤りとなる」(p.174)
ナイトは次のように結論づけている。
経済進歩の領域においては、均衡に向かう傾向という概念は、成長の特定の要素にはまったく適用できないし、それは、一様のプロセスとか相互関連変化のシステムとしての進歩に関連しては、限定的かつ部分的にしか適用できないため、有益というよりも誤導的になりがちである。(p.176)