2017年10月4日水曜日

カタロニア独立問題


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カタロニア独立問題

カタロニア州自治政府が、単独で実施に踏み切った独立を問う国民投票、そして
それを違法とするスペイン政府による、投票阻止行動は、投票当日は大量の警察官
による投票者にたいする暴行事件へと発展し、900人近い負傷者をもたらすことになった。
 自治政府首相は、国民投票での圧倒的な賛成票を根拠に、近日中に独立を宣言する
という声明を発している。
 こうしたなか、スペイン国王が異例のテレビ演説を行った。その趣旨は、スペイン政府に沿うもので、カタロニア自治政府の行動を違法行為であると断罪するかたちをとる
ものであった。
 いまのところ、対立はエスカレートをみせるばかりで、どういうところでおとしまえがつくのか、つかないのか - つかない、というのは、穏やかな事態でないことはもちろんである。
 部外者からみると、ここまでの行動をとらずとも、カタロニアがスペインのなかでの地位を向上させるより穏やかな手段があるのではないか、と思ったりもするのだが、とまれ、事態はこういう状態に至っており、緊迫が続くことになる。

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ところで、スペインはEUの主要メンバー国でもある。この国がこうした独立によるスペインの分裂という事態に立ち至っているわけであるが、EUはとくにこれにたいして何の対策も講じていない。
 EUはこれまで、拡大につぐ拡大を続けてきた。とくにソ連の崩壊後の東欧や(ユーゴの崩壊に伴う)バルカン諸国などに、市場拡大と軍事的拡大(NATO)を、いわばなし崩し的に行ってきた。そして21世紀になると巨大な地域がその管轄下に入ることになったのである。この間、金融的には、部分的な統合、すなわちユーロ・システムの導入をはかってきたし、さらには、政治的な統合まで希求するような動きすらみられた。
 肥大化したEUだが、ポーランド、ハンガリーなどでは、かなり独裁的傾向の強い地域が出現しており、難民危機での対処の失態や、金融的にギリシアの隷属的状況の現出などを生み出してきている。
 メルケルはドイツの首相を引き続いて務めることになったわけであるが、ドイツでは選挙期間中、EU危機は何ら話題にならず、専ら、国内的問題に終始したことが報じられている。
 こうしたなか、すでに生じているイギリスのEU離脱 (この問題 [Brexit] は、ガーディアン紙では365日、いまでもこの問題がトップ記事であり続けている) に引き続き、今回は、メンバー国内部の分裂という問題が発生しているわけである。

第2の記事の中に、次のような記述がある。EUには、こうした分離問題に対処できる規約が存在しないというものである。リスボン条約の4.2 条では、そうした問題にたいしてEUが介入してどうこういう権利が存在しないのである。
 とはいえ、放置しておいた場合、一体どういう事態が生まれるのか、ことは事態の推移は時間がくれば自然と落ち着く、というような性質の問題ではない。なにせ、独立行動がとられようとしており、そしてそれを何としても阻止しようとするスペイン政府が対峙しているわけであるから、両者が何らかのかたちでテーブルにつかないかぎり、事態は深刻な方向に向かう危険性は十分にある。
 この問題も、組織としてのEUのもつ脆弱性を - 難民危機でのメンバー間での割り当て不履行、ユーロ・システムのもつゆがみ(独仏の大銀行救済とギリシア国民の奴隷化状況への追い込み)、曝け出すものとなっている。メルケル、ブリュッセルは今後、どういう行動に出るのであろうか。
The EU has long been ill at ease with separatist issues within its member states. It has no mechanism to sort out a dispute of this kind. Article 4.2 of the 2009 Lisbon treaty states that the EU “shall respect” the “essential state functions” of its members, “including territorial integrity” and “maintaining law and order”. The EU has no power over how a member state decides to organise itself or its constituent regions.