ロシア、イラン、トルコの関係強化 - 中東の地政学的激変の兆候顕著 いま、サウジ国王がロシアを訪問し、数多くの経済協力を締結させたことは、これまでの両国の関係から考えれば、考えられないような事態の発生である。その内容も、巨額の経済協力、兵器輸出、石油をめぐる協力関係から原子力発電にまで及んでいる。これだけのことがなされるには、相当以前から水面下で粘り強い交渉がなされていたに相違ない。トランプがサウジを訪問したとき、すでにこうしたことは進行していたことであろう。 このことは前回のブログで記したとおりである。 だが、ロシアの行動はこれに留まるものではない。イラン、トルコともサウジと行ったのとほぼ同じような大型の経済協力関係を締結させているのである。イランのルーハニ大統領一行がロシアを訪問したのは3月の末 (2日間) であるが、そこでガス・石油、軍備、原子力発電についての契約が締結されている。これは次のサイトを参照されたい。 https://www.youtube.com/watch?v=7INliSK3B3I Putin & Rouhani hold 視聴回数 25,986 回 RT 2017/03/28 にライブ配信 Russian President Vladimir Putin and his Iranian counterpart, Hassan Rouhani, are holding a news conference following their meeting in Moscow. Iran’s president is in Russia on a two-day official visit to discuss cooperation between the two countries and sign a number of bilateral documents. こうした協力関係が、一層多くの分野で進呈していることを説明しているのが次のサイト である。 https://www.youtube.com/watch?v=IIBQKyacJp0 Kazem Sajjadpour: Iran-Russia Relations Are Evolving in Different Areas 2017/05/04 に公開 According to Kazem Sajjadpour, President of the Institute for Political and International Studies (IPIS), Ambassador and Chargé ロシアはトルコと同様の経済協力関係を最近、具体化させている。プーチンが先月、トルコを訪問して行われている。下記はそのときの様子を両首脳が記者会見していることを示すサイトである。 https://www.youtube.com/watch?v=BaJUK8KVs84 Putin & Erdogan speak after meeting in Ankara (Streamed live) RT 2017/09/28 にライブ配信 Russian President Vladimir Putin and his Turkish counterpart Recep Tayyip Erdoğan are holding a joint press conference, following their meeting in Ankara. *** これにとどまらない。 トルコのエルドアンがイランを訪問して同様の経済協力関係を構築しようとしている。その様子は下記のサイトで見ることができる。 https://www.youtube.com/watch?v=vkOVLZBaTb4 Strait Talk: Behind Turkey's visit to Iran TRT World 2017/10/07 に公開 This week Strait Talk discusses the recent visit of Turkish President Erdogan to *** https://www.youtube.com/watch?v=vkOVLZBaTb4 Strait Talk: Behind Turkey's visit to Iran TRT World 2017/10/07 に公開 This week Strait Talk discusses the recent visit of Turkish President Erdogan to *** これらの行動は、ロシアを先頭に、イラン、トルコのみならず、サウジまでもが大いなる経済協力関係を伴う行動に積極的・具体的に出ているということである。アメリカは蚊帳の外におかれるというこれまでには考えられなかった事態に至っている。 アメリカの中東での影響力は、イスラエルとサウジはいままで確実であったのであるが、いまやサウジはロシアとも協力関係を結ぶに至っている。 2003年にアメリカがイラク侵攻を行ったあの時点では、ロシアの影響力はシリアになにもなかったし、イラクへのイランの影響力もなかった。そうした状況がいまや完全に崩れてしまっており、シリア、イラクは、ロシア、イランが主役になっている。 トランプは、いまイランの核合意を拒否する行動に出ることが確実視されているが、イランが約束を遵守しているという主張は、トランプとネタニヤフ以外はすべて承認されていることがらである。そのうえ、この問題は、先日、国防長官マチスが、イランは約束を遵守しており、核合意は堅持されるべきである、と上院の公聴会で公式に発言したばかりであり、内部での意思疎通の完全な欠落を露呈するものとなっている。 そして、トランプはいま、国務長官ティラーソンを解雇し、ポンペイオを国務長官にすることを決意していると噂されている。そうなれば、トランプは外交政策をほとんど放棄してしまうに等しく、国際社会から完全に孤立した状況に追い込まれることになる(すでに追い込まれているが)。 トランプの1人芝居(いまも、「嵐の前の静けさ」という言葉を発し、自らに注目が集まることで悦に入っている。そしてアメリカのマスコミはそれに動かされることで飯が食えるから、その意味の詮索に多大の時間を浪費するような事態になっている)に翻弄されるアメリカだが、ロシアをはじめとする上記の関係国は、地道で大掛かりな経済協力関係の方向に舵を切っている。 この結末はどうなるのか、予断は許さないが、この現実にもっと注目する必要がある。 (この点で、EUはまったくの無力状況にある。ロシアは、米欧から受けている経済制裁を跳ね返す通路を見出そうとしている。) |
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