https://www.youtube.com/watch?v=1-Z6WEZxBNg The Debate – Russia-Saudi Arabia Ties 2017/10/05 に公開 The Saudi King is heading a delegation in what's called a historic visit to Russia. On the surface, there is much the 2 disagree 下記は上記の番組を聞きながら考えたこと 中東の地政学的変化の兆候 - サウジ国王のロシア訪問という衝撃が語るもの サウジ国王がビジネス界のトップをひきつれて、プーチン・ロシアの招きに応じて4日の予定でモスクワ入りをしている。これは、これまでの長年にわたる両国の関係から考えると、ありえない光景なのだが、それがいま現実のものとなっている。 多くの見解の相違があるものの、両国は、すでに巨額の経済取引、ロシアからの兵器の大量購入、さらに巨大石油産出国として、これまでとはうって変わって協力体制に入ること、さらには原子力発電協定、などをすでに決定している。これはだれがみても、小さな取引ではありえない。ロシアからみれば、欧米から受けている経済制裁による経済停滞にたいする重要なカンフル剤であるからである。 トランプが最初に訪問した外国はサウジであった。そしてトランプは、巨額の軍需契約を行い、それに大いなる満足の表情を見せていたことは、周知のとおりである。それから数カ月も経たないうちに、いまサウジとロシアがこうした巨額の取引を見せたということは、この間、両国のあいだでは、おそらく秘密裏に綿密な打ち合わせを行ったればこその話である。トランプは、裏をかかれたということになる。 ロシアとサウジがこうした結び付きを示した理由として考えられているのは、ひとえにシリア情勢に象徴されるように、アサド・シリアを断固支持する姿勢に出たロシアが、そのことを現実化させ、かつそれを崩すことはもはや不可能な情勢になっていることを、サウジが明確に認識した点である。自国の中東での地位を維持していくうえで、ロシアとの協力関係が不可欠、言い方を変えると、アメリカにのみ依存していても、中東におけるアメリカの存在感はロシアより小さい、とサウジが判断しているからである。 歴史的には、ソ連は米ソ冷戦時代に世界中に影響力をおよぼすネットワークを構築していた。それは中東にあっても然りで、これまでの中東戦争において背後に米ソが存在していた。それが、91年のソ連の崩壊とともにそうしたネットワークが露と消え、中東においても、影響力をもつのはアメリカだけになるという時代になっていた。プーチン・ロシアのアサド・シリア支持は、そうした劣勢をはねかえず重要な一歩と、プーチンが考えていたのである。そしてそれにプーチンはほぼ成功しており、今後の中東情勢の展開において、欠かせない存在になっている。 *** 中東の戦後の重大な問題は、長年、イスラエルとアラブ諸国との争いであった。それがサダトの時の第4次中東戦争において、結果的にエジプトとイスラエルが和平条約に達するなか、イスラエルとパレスティナの争いとなり、より大きな問題はオペックのような経済的問題に移行していくことになった。いまではイスラエルはパレスティナを事実の植民地状態にしており、ヨルダン川西岸でのイスラエル人の入植、そしてガザ地区にたいしては封鎖作戦の継続を続けている。国際世論の声に耳を傾けることはない。 中東のより深刻な地政学的問題としては、このイスラエルが取る行動である。ネタニヤフが最も敵意を抱いているのはイランであり、核攻撃も辞さない態度をこれまで数度示してきている。 *** 中東情勢が今後も予想のつかないほど、不安定であるのは変わりがない。1つは、イランをめぐるトランプ・アメリカの、またまた不条理なイラン攻撃である。トランプは、イラン核合意を否認する方向で臨もうとしている。ただ、それが経済制裁にまで行く着くかは、下院での審議の結果にかかっている。もし経済制裁を決議すれば、状況は一気に緊張状態になる。イランが核兵器開発に向かう道を許すことになるからである。 もう1つは、クルドの独立問題である。いまはイラクのなかのクルドスタンの独立問題だが、すでにイラク政府はもちろんのこと、多数のクルド人が住むトルコ、そしてイランがクルドスタンの独立を容認することはないからである。 アメリカはクルドスタンを支援してきた立場にあるが、こうなると、この問題をめぐっても話はすこぶる複雑である。それにイラク政府にたいていはイランのシーア派が大きな影響力をもっているのである。アメリカのイラク統治政策の失敗がこうした状況をもたらしている。なかでも、トルコはクルド族問題で長年にわたり対立してきた歴史があり、シリア北部にまで影響力を拡大してきているペシュメルガ軍(クルド族の軍事勢力)、そしてトルコ国内に住むクルド族が連鎖反応的に独立への動きを示すことには、きわめて強固な態度で臨む、つまり軍事的介入を辞さない、とエルドアンは公言している。 *** 中東は、イスラム国が壊滅状況になるなか、それで収拾するのではなく、新たな火種、新たな地政学的変化を前に、関係諸国が神経をとがらして動いている、 そういう状況になろうとしている。こうなりそうなことはある程度は予想できたことではあるが、今後それがどういう展開を見せるのかは、上記のような複雑な要因が重なっているから最終的結末は予想不可能である。 |